2023年4月 シンボルツリー

 40数年前厚木に家を建てたとき、新築記念にと父が庭師を入れ、ささやかな庭を作ってくれた。そして、松、梅、ヤマモモ、白木蓮など数種の木も植えた。ヤマモモは男木だったので実がならなかったし、大きくなりすぎ隣家にも日影を作るようになったので切り倒した。やはりヤマモモが欲しかったので、女木の苗を購入し、隣家から離して植えた。これがもう大きくなり背丈も3 mを超えた。6月になると毎年沢山の赤い実をつける。実は種が大きく果肉が少ないし、酸っぱいのでジャムを作ったこともあったが、最近はならせたままである。小鳥たちの良い餌になっている。梅の木は2本、実が沢山なる年とならない年がある。木が大きくならないように毎年枝を刈り込んでいるがその切込みの程度により、花が多く付く年とつかない年があるためらしい。

 木蓮も大きくなった。白木蓮である。一度植えたものが大きくなりすぎ手に負えなくなったので切ったとこころ、脇から芽が出てきた。枯らそうかと思ったが少し可哀そうだったのでそのままにした。これが育ってもう20年以上になる。我が家のシンボルツリーである。背丈も十数メートルになった。1月も末になると蕾が膨らみ始め、春近しとの思いが強くなる。2月になればさらに蕾が膨らみ、それが割れて白い花びらの色をのぞかせる。そして、2月末のある日、あるいは3月初め、ついにおおきさが10 cmから15cmくらいの花が青空に向かって一斉に開くのである。我が家は地山を削った切通しの崖の上にあるので大通りからも良く見える。木蓮の花びらは風に弱い。開き初めに強い春風にあうと花びらに茶色の筋が入り折角の気品のある花がみじめな色になってしまう。ここには土、日に来るので開花期と合えばよいが、留守の間に開花し、強い風にあった年などみじめな様子しか見られないことがある。もう散りはてていたり、傷ついた話か見られないのである。今年は運が良かった。見事な花に出会えた。長柄の挟みで数本切り取って、隣家におすそ分けし、残りは横浜に持ち帰り、マンションの住人が出入りする入口に飾った。

ハクモクレン