2021年7月 暴挙

 私の住んでいるマンションのまえには幅約7メートルの右から左への一方通行の道路があり、その外側に幅4メートルくらい、長さ約70メートルの空地があり、これは市の管理区域で、その外側が首都高阪東橋ランプ出口である。つい1か月ほど前まではこの空き地には太さ50センチくらい、高さ10数メートルの樹木が4本生えていた(下の写真)。

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常緑樹で艶のある葉をこんもりと茂らせていた。樹木名はわからないが、樹木図鑑で調べるとオガタマノキモクレン科やツクバネガシ(ブナ科)などと似ている。地面には誰が植えたのか紫陽花やつつじ、バラ、幸福の木、南天アロエ、竹、その他いろんなものが植わっていて、雑草の伸びも著しかった。

 

11年ほど前、定年を機に私も雑草を刈り取り、ここに柚子や沈丁花、牡丹、芍薬ホトトギス水仙、菊などを植えた。また、チューリップ、コスモス、グラジオラス、朝顔、向日葵なども植えた。春、牡丹や芍薬が咲くと通りすがりの人がこれを楽しみにし、写真を撮っていく人などもいた。ところが樹木が繁茂しすぎてうっとうしくなり、また、雑草が著しく生えた部分もあり、住民の誰かがここを管理している南区土木事務所に何とかしてくれと苦情の電話をした。そのため、土木事務所としては放っておけないので樹木を伐採し、更地とし、防水シートで被うとの知らせがマンションの管理事務所や自治会の会長に伝えられた。これを聞いた私は、見事に育った木を伐採するのは忍び難く、花木もこれを楽しんでいる人もいることだから、枝の伐採程度にしてくれないかと担当者と会ったり、電話をして頼んだが、苦情を言われた以上はこれに対処しなければならないの一点張りだった。そこで、私は改めて、南土木事務所所長宛に以下の内容の手紙を出し、返事をいただきたいと書いた。

「樹木を伐採しないでほしい。この樹木は夏の強い日差しを遮り、また、ある程度高速道路の騒音を遮っている。もし、伐採されるとこれからの夏の強い日差しの照り返しがひどくなる。花木を楽しんでいる人々もたくさんいるので更地にはしないでほしい。見苦しい部分の雑草は刈り取るから、樹木の枝の繁茂しすぎた部分を整枝する程度にしてほしい等々」。それからほぼ2週間後の6月中旬、所長(担当管理係)から下記のような返事が届いた。

 

阪東橋駅前通りの樹木(植栽帯)の管理について(回答)

 平素より横浜市政についてご協力をいただきありがとうございます。

ご指摘の樹木および植裁帯については、倒木等により、車両や人身への被害の恐れがあること及び道路への障害となる可能性があることから、首都高速道路株式会社と南土木事務所による協議により、道路管理者としての判断で伐採することといたしました。伐採後は環境に配慮し同等の樹木を南区内の植樹桝に植樹していくことを検討しております。今後とも道路の適切な維持管理に努めますので、ご理解・ご協力くださいますようお願いいたします。

 

 この文章は道路公団を隠れ蓑にした、典型的な事無かれ主義の言い訳である。なぜ、横浜市内の各公園のように樹木の繁茂し過ぎた枝は年に1回整枝し、雑草を刈り取ることをしないのだろうか。その気になればそのくらいの予算確保は容易なはずである。そこまで気が回らないか、あるいはやる気がないのである。

 6月21, 22日の2日間かけ、ついに樹木はあっけなく伐採された。高速道路の我々側とは反対側の空き地には高さ20メートル以上のメタセコイヤが生えているが(下記写真では見えない)、これはそのままだった。

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 この伐採に先立ち、花木等がみすみす除去されるのは忍びなく、娘や妹、弟たちに声をかけ、希望のものを引き取ってもらった。その後、ほゞ1か月が経過、雑草がどんどん伸び始めた。でも草取りをする気持ちになれない。黙って見ていよう。世の中がどんどん悪くなっていくような気がしてならない。