2015年1月 サンタクロースはいるか,いないか

暮れに息子から聞いた話である.彼ら夫婦には小学校6年の男の子と4年の女の子がいる.1224日の朝,その2人が真剣に何か議論していた.そっと窺ってみるとその内容はサンタクロースはいるか,いないかということだった.
男の子の方は“いない派”だった.しぶしぶ,それにしたがっているようだったが,学級会で大議論の結果,サンタクロースはいないとの結論が出たのだそうな.他方,女の子の方は“絶対いる派”.「だってね.私が幼稚園のころ,お母さんにリカちゃん人形が欲しいとねだっても絶対買ってくれなかったの.サンタさんにお願いしたらといわれたの.そしたら,1年生の時のクリスマスのプレゼントがリカちゃん人形だったの.だから,絶対サンタさんはいるってば」.女の子は口が達者である.兄の方が押され気味のまま,議論は終わった.そして,次の日の朝である.「やっぱりサンタクロースはいたんだ!」と叫びながら,男の子がにこにこして起きてきた.彼は前からゲーム機が欲しくて両親にねだっていたが,どうしても買ってもらえなかった.それが,枕元にタブレットが置いてあった.ただし,ダウンロードするゲームソフトは1つのみ,ゲームをやっていい時間は一日,一時間と両親から厳しく言い渡されたらしい.息子は,間もなく中学生になる長男のあまりにも素朴な振舞いを見て,大丈夫かなと嘆いていた.さて,我が家の場合である.早々と,息子が小学1年生の時にばれてしまった.当時住んでいた川崎のさいか屋デパートの包み紙の所為である.しかし,息子はサンタクロースが本当に来るかと夜中まで寝たふりをして起きていて正体を突き止めたとうそぶいている.娘のところには中学3年の男の子と小学6年の女の子がいる.その男の子のほうが小学5年の時,サンタクロースがいないとわかって,眼に涙を浮かべ泣きべそをかいたとか.他方,妹の方は小学3年の時,うすうす感づいたらしいが,わからないふりをしていたらしい.この女の子が,上記の従兄のゲームソフトのことを漏れ聞き,「単純,単純,無料ソフトがいくらでもダウンロードできるのにね」と言った.彼が気付くのも時間の問題であろう.我が家の孫たちはいずれも女の子の方が優勢である.義姉のところではプレゼントの長靴の中にお菓子と一緒に軒先に吊るしてあった干し柿も入っていてばれたのだそうな.わが国ではこんなことがいたるところで起こっているのではあるまいか.平和のおかげである.大切にしたいものである.