2013年10月 上海,蘇州の旅

201310月 上海,蘇州の旅
 
 上海,Fudan大学のYuping Wu 教授が主催された国際化学連合・第9回新奇物質とその応用会議(1017-22)に出席した.昨年3月,サンジェゴ(米国)で開催されたアメリカ化学会に出席した折,私の前に招待講演をされたWu教授と名刺を交換したのが縁で,昨年に引き続き今回も同教授から上記会議の招待講演の機会をいただいた.出席者300人程度のこじんまりとした学会である.有機,無機を問わずあらゆる新しい物質とその応用がテーマであるから,普段なじみの学会で顔を合わせる人はほとんどなく,この学会を通じて親しくなった,年一回の七夕のような研究者同士の集まりである.わたくしは2回目,昨年親しくなった内外の研究者と再会した.電気化学専門の私が物理や有機化学,高分子化学の最先端をわかるはずもないが,エネルギー変換・蓄積材料という切り口のセッションに参加すると内外の電気化学会議で常連の人とは異なる分野の,ただし電池材料に関心を持つたとえば,応用物理,物性物理,高分子化学等の分野の研究者の発表が聞け,新しい知識,情報が得られることになるありがたい学会である.私はここで,リチウムイオン電池の新しい正極物質の話をした.
Fudan大学は1000校もある中国全国の大学中,10指以内に入るレベルの高い大学で学生たちは自信に溢れているように見えた.学会運営は主にWu研究室の学生たちで行われ,女子学生の活躍が目立った.どういうわけかいずれも小柄の女子学生たちが男子学生を仕切っていた.ツアーの案内を務めた女子学生と男子学生がバスの中でやりあっていた.残念ながらまったく意味が分からないが,最後に男子学生は頭を掻いていた.降参の意味にとれた.中国の大学院生は男女を問わずいずれも英語が良くできる.会議で知り合った北京大学出身で東北大学に留学中の女子学生も素晴らしくよくでき,英語はTOEICで満点の990点,日本語は1級とのことであった.かつ,偉ぶるところがなく,非常に謙虚で率直である.食事の際などもお茶を注いだり,ナプキンを配ってくれたりした.日本の男子学生諸君!しっかりしないと彼女たちにひとたまりもなくやられてしまいますよ.そんな印象を持った.
大気汚染は風のせいか,私の能天気のためか,見た目にはひところ伝えられたほどひどくはないように思えた.日中は青空が,夜は満月が見えた.遠くまでビル群が見えたが,しかしやはりその先は白色にかすんでいた.オリンピックの年の北京では空全体が乳白色で太陽がどこにあるか見分けられず,東西南北の方向が定められず困った思い出がある.車の排ガスが大気汚染の主原因とされている.ハイブリッド車はまったく見られないが,自転車,オートバイはほとんど電動化されており,音もなくすっと後ろまで来られ驚くことがしばしばだった.たまにマスクをしている人を見かけたが,日本のマスクよりはるかに大きく,色も白でなく,青色や黒色で覆面をしているように見えた.蘇州分は次号に.
 
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