2016年9月 私の好きな女性歌手

20169月 私の好きな女性歌手
 
去る99日,神奈川県民ホールで開催された夏川りみのコンサートを聴きに行った.妻を誘ったが断わられたので聴衆はどんな年齢層かと気にしながら一人で行った.どちらかといえば中年の男女や夫婦連れが多かったので少し安心した.自分ではあまり年を取ったという意識はないのだが,私のような後期高齢者は見当たらないようだった.昨年,沖縄の石垣島等を旅行する機会があった.その際,ホテルの土産物屋で彼女のCDがあったので沖縄旅行の記念にと購入した.彼女は石垣島の出身なのである.前にも彼女の歌はラジオやテレビ等で聞いたことがあったがそれほど気にも留めないでいたのに,そのCDを聴いてからすっかりフアンになった.“涙そうそう”,“イラヨイ月夜浜”,“童神~ヤマトグチ~”,“花”,“島唄”等が好きな曲目である.彼女の歌声はどこか懐かしく心に沁みるような素晴らしい音色である.いつかコンサートに行ってみたいものだと思っていたが,今年の春ころコンサート開催の新聞広告を見つけたので早速チケットを購入,今回の県民ホール行きとなったのである.やはりライブはいい.ただし,オペラグラスを持っていくのを忘れたのは失敗だった.聞いたことのある曲や私には初めての曲を彼女は10数曲歌っただろうか.のびやかで澄み切ったその歌声は一度聞くと忘れられなくなる.高い音を張り上げるときには金管楽器ように響いた.アンコールも数曲あって,あっという間の2時間だった.彼女は台湾にも何回かコンサートで行っており,向こうでもたいそう人気があるらしい.“月漁代表我敵心”,“茉莉花”など中国語で歌った曲もある.帰りに,最近発売になったという“夏川りみ台湾精選”というCDを購入した.それに握手券なるものが付いてきたのでそれに誘われて彼女と握手してきた.舞台では非常に大きく見えたのに,たぶん160 cmに満たない小柄な女性だった.私も相当のミーハーである.
もう2, 3年前になろうか.大枚2万円のチケットを購入し,由紀さおりのコンサートに行ったことがある.妻を誘ったが,そんな大金を出してもったいないと相手にしてくれなかったから,この時も一人で行った.昔から彼女のフアンで,ようやくその希望がかなったのである.女性の年齢を云々するのは禁物であるが,もう60歳台も後半の彼女は相変わらずふくよかでチャーミングであった.彼女は芝居やテレビドラマ,映画にも出演しているせいか,歌の合間の会話も明瞭で見事であった.この時も帰りにCDを購入したら,サイン入りの大きなプロマイドがついてきた.さすがに妻や孫たちの手前,机の前の壁には貼ってない.他にも“1969”,“Smile”など数枚のCDを持っている.前者はピンク・マルティ―ニとのコラボレーションで各国でも高く評価され,いくつかの国のヒットチャートにも登場した.有名な“夜明けのスキャット”は150万枚のミリオンセラー,“手紙”,“恋文”などはレコード大賞を受賞している.私がすごいと思うのは,彼女に限らず,歌手は自分の持ち歌のみならず,カバー曲を何十曲もそれらの歌詞を暗記しており,空で歌えることである.プロといえばそれまでであるが,暗記力のない私には驚異的である.私など時々,講演を頼まれるが,パワーポイントを足掛かりにしなければ数分も場を持たすことができない.もう,15年以上も前になろうか,学会でフランスの田舎に赴いたことがある.一人で散歩をしていたら,ちょうど収穫祭のころだったのだろう,村人がたくさん集い,ワインを飲みながら,舞台などもしつらえ,陽気に歌い踊っているところに行き会った.彼らに捕まってワインを飲まされ舞台に引き上げられ,日本の歌を歌えと強要された.歌える歌などひとつもない.ようやく,“夕焼け小焼け”を思い出し,これでお茶を濁して這う這うの体で退散した.カラオケは暗記力を減退させる.もちろん八つ当たりであるが.
美空ひばりはわが国が生んだ最大の歌手ではなかろうか.天才である.若いころはそのすごさがわからず全く評価していなかったのを恥じるばかりである.
いちどコンサートに行ってみたいと思ったとき時はすでに遅く彼女はこの世に亡かった.52歳の若さで逝ったのがとても惜しまれる.著名な歌手でもヒットした持ち歌はほんの数曲,これと他の歌手のカバー曲を繰り返し歌って何年も持ちこたえているが,ひばりには何十曲もの人々に親しまれているオリジナル曲がある.中でも私が好きなのは,“ふるさとはいつも”,“夾竹桃の咲く頃”,“一本の鉛筆”,“愛燦燦”,“川の流れのように”などである.“一本の鉛筆”はさりげなく86日の原爆のことを歌ったものである.毎年,8月になるとテレビ,ラジオその他のマスコミで戦争反対云々が声高に叫ばれるが,その際,この歌はもっと歌われてもいいように思う.“川の流れのように”は生涯最後のシングル盤でこの歌には彼女の思いのすべてが込められているようである.もう病がすすんでおり,死を意識しつつ歌ったのではないか.夜中にこの歌を聞くとしみじみと身に迫るものがある.
Carpentersも大好きで,“イエスタデイ・ワンスモア”,“トップ・オブ.ザ・ワールド”など歌えないが,そのメロデイが頭に染みついており,無意識に鼻歌を歌っていることがある.CDはむろんであるが,コンサートのライブのビデオディスクを持っている.
ABBAはもう40年も前になろうか,LPレコードを2枚購入したが,間もなくプレイヤーが壊れてしまった.その後,CDが主になったため,長いことその歯切れの良い歌を聞くことができなかった.2年ほどまえ,プレーヤーを購入,ようやく聞くことができるようになった.どの曲でも,すぐABBAとわかる生きの良い歌声を聞くと元気が出てくる.
中島みゆき(この人美人.昔,コンサートに行ったことがある)テレサ・テン,藤 圭子等も大好きであるが,切がないからこの辺でやめる.