2018年5月 シジュウカラの巣立ち


2018
5月 シジュウカラの巣立ち
 
 長年にわたって厚木の家の庭の梅の木に巣箱が取り付けてきた.昨年までのものは孫の男の子が小学4年生頃の夏休みの宿題に作ったもので,7, 8年間,毎年シジュウカラが春になると出入りし,巣作りをしてきた.しかし,ついに昨年,木の箱が朽ち果てたので取り外し,半年間ほどそのままになっていた.新しい巣箱を作らなければとホームセンター数か所を訪れ,厚さ15 mm, 150 mm, 長さ1.5 mほどの板を探していたが,どこにもなかった.困っていたところ,ふと妻が「たしか,飯山の方に材木店があったような気がする」といった.飯山地区は厚木の家から7-8 km離れている.1月のある日,探しに行ったら見つかった.森林組合が経営している材木店で銘木や各種の木工品も展示販売していた.ようやく手ごろの目的の杉板が見つかったので早速購入,巣箱作り作業を開始した.設計図はもう数十年昔の新聞に載っていた「易しい巣箱の作り方」の切り抜きですっかり変色し,擦り切れている.早く完成させないと巣作りの季節が来ると気がせいていたが,3月初旬ようやく完成,早速,梅の木に取り付けた.間に合った.梅の花が散り,若葉が芽吹き始めた4月になると盛んにシジュウカラの鋭い鳴き声がするようになった.ある日,確かにシジュウカラが巣箱に出入りするのを見つけた.その後,親鳥が頻繁に出入りするようになり,一安心.ところが,連休初日の去る428日,厚木に行くと巣箱が銅線の針金でかろうじて支えられ,宙吊りになっているではないか.巣箱を木に縛り付けた銅線の締め付けが甘く,大風で外れてしまったのだ.慌てて蓋を取ってみると小さな雛がもぞもぞしていた.まだ,生きているらしい.すぐ,元の場所に巣箱を取り付けた.親鳥が戻ってきてくれればよいがと念じつつ巣箱をそっと家の中から縁側のガラス戸越しに見守っていたが,なかなかやってこなかった.1日中張り付いているわけにもいかなかったが,時々,親鳥の声が聞こえた.庭に出て少しばかりの畑に里いもを植えたかったし,草取り,ボタンその他の春の花木の手入れをしたかったが,妻が「親鳥が用心して近寄らないから庭に出るのは禁止」と言い渡した.29日,孫たちがやってきた.妻は好奇心を抑えきれなかったのか,私には禁止令を出していたのに,私の外出中に中2の孫娘をそそのかし,彼女を梅の木に登らせ巣箱の蓋を開け,スマホで写真を撮らせた.彼女は幼稚園児のころから木登りが好きで厚木に来るとヤマモモや梅の木に登っていたから,妻に言われ大喜びでこれをやったらしい.親鳥が給餌を辞めなければよいがと願った.添付の写真がそれである.はっきりとは区別できないが,黄色いくちばしの雛が5, 6匹いるようである.,妻は私には庭に出るのを禁じておきながら自分では木に登れないものだから,孫にあんなことをやらせたのに多少,気が咎めるらしく,横浜に戻ってからもうまく育ったかしらと何回も口にした.去る512日厚木に行った.梅の木の下で耳を澄ましても鳴き声が聞こえない.梅の木の幹に鳥の糞がたくさんこびりついていた.雛が死骸となってミイラ化していないかなどと懸念しながら木に登り,恐る恐る巣箱の蓋を開けたら,巣箱はすっかり空でコケ類で作った巣のみが残っていた.皆,無事巣立ったらしい.妻共々一安心した.
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