阪東橋界隈から 十月

ラジオ体操
 
  定年退職後2年半も過ぎてしまった。退職直後から始めたことの一つにラジオ体操がある。マンションの近くに首都高速の阪東橋出口があり、高架橋になっている。その下は公園でここでもう30年以上もの長い間にわたってラジオ体操が行われているのである。高架橋の下であるから雨の朝も可能である。Aさんという町内会長や民生委員を務められた方が毎朝、トランジスタラジオを持って6時半少し前に公園に現れる。この方のおかげで長く続いているのである。私もここに妻とともに参加させていただいている。ラジオ体操だけでは物足りないと少し早く公園に行き、30分くらいゴミ拾いをしている。そのあとスクワットを50回と腕立て伏せを10回やり、体操に臨んでいる。腕立て伏せの方は少しインチキである。地面に両手を置くわけにもいかないので、少し腰の低いベンチに両手を置いて行うため身体が水平ではなく15度くらい傾いているので全体重が腕に加わっていないからである。ゴミ拾いの話は次回以降にしたい。 
体操に参加する人数は15人から最高25人、平均年齢は70歳前後くらいか。男性は2-3割で圧倒的に女性が多い。お互い顔見知りで今日は誰誰さんが見えないねなどと情報交換が行われている。最高年齢は82歳の男性である。この方は皆より20-30分早くこられ、ラジオ体操開始前に自分で編みだされた独特の体操をやり、最後に朝日に向かって深呼吸をされている。ある朝、少し話したことがあって、その年齢が判ったのである。真冬の寒い朝には7人になったこともある。癌その他の病気療養中で、飛び上がったり、腰を曲げたりできない方も参加され、体操中は手足を動かしておられる。たまにホームレスの人が参加することもある。私は子供のころやっただけでうろ覚えの型を前後、左右の人のまねをしながらやっていたが、どうも人によって少し型が異なるので気になっていた。最近、「大人のラジオ体操」というDVD付きの本が発行されたので購入した。それまでずいぶんいい加減なことをやっていたことが判った。ただし、正しい型でやろうと思っても足が曲がり両膝はぴたりとつかないし、身体を反らせたり、前に深く曲げようと思っても固くなった身体は思うように動かない。情けないことである。それでも本気でやっているとかなりきつい運動量で第二体操が終わるころには汗が出てくる。妻は中学生のころ毎朝、グランドの前に設えられた台の上で皆の方に向き合って模範体操をやったとか、左右逆に皆と合わせてできるのが自慢である。あれが模範かと首をかしげる場面もいくつかあるが、武士の情けで黙っている。残念ながら、乳がん闘病中の彼女は現在欠席中である。早く復帰してほしいものと願っている。