2016年9月 テレビに出演した話 その2

20179月 テレビに出演した話 その2
 
 先月の話から,しばらくしてまたNHK TVに出演した.今度は“なるほど経済:あなたの知らない電池の秘密”と題する経済番組で,電池が如何に人々の生活に入り込み役立っているかという内容だった.中央線のある駅に下車,女性アナウンサー(名前は失念) と徒歩10分くらいの家にお邪魔した.夫婦と小学生以下の子供3人のお宅だった.あらかじめ連絡してあったのか,おもちゃや時計など,その家で使われている電池をそれぞれの器具から取り出し,山のように並べてあった.さらに私が気づきにくいガスコンロ,電気釜などからアルカリ乾電池やボタン形リチウム電池を取り出した.数えてみたら,6種類,105個もあった.複数個の電池を使用する場合は入れ方を間違えないこと(例えば4個のうち1個だけ入れ方を間違えても懐中電灯は少し暗くなるが点灯する.その場合,放電時も1個だけが充電されることになり,水が電気分解され,ガスが発生して漏液し,運が悪ければ破裂する),複数個の電池を取り換えるときは同時に新品とし,使用時間の異なる新旧の電池を混入して使用しないこと,その他いくつかの注意点を話したことを覚えている.帰り道で,アナウンサーに「毎日,まったく異なる内容でそれぞれの分野の専門家と接触し,その対応のために専門知識を仕入れなければならず,よくそんなことができますね」と尊敬の念を込め,以前からの疑問をぶっつけると彼女は「慣れですよ.さっきまでのことはすぐ忘れ,これからのことに集中するんです」とこともなげに答えた.
 ある時,日本テレビから電話がかかってきた.当時の人気番組“伊東家の食卓”に出演してほしいとのことであった.この番組は父親役の伊東四朗氏,母親役の五月みどりさんと子供たちが生活に役立つ,思いもかけない“裏ワザ”を披露する内容だった.私への依頼内容は,停電時,懐中電灯を点けようとしたが単1乾電池が手元になく,あるのは単3乾電池だけである.電池の背丈が足りないので長さが単1形になるよう10円硬貨を何枚か挿入して調節し,電池の周りを紙で巻いて太くして間に合わせた.これで懐中電灯は点くが問題ないかというものだった.硬貨間の接触抵抗が増加し,少し暗くなり,熱も発生するかもしれないが,長時間使用しなければ問題なしと答えたが,その辺のことを詳しく説明してほしいので,研究室を訪問したいとのことであった.約束の日時に一人の30代の男性が撮影用の大型カメラを持って研究室に現れた.彼がいろいろ質問し,それに私が答える場面を彼は撮影した.質問内容は的確であった.私が「一人で司会役から撮影まで大変ですね.失礼ですが,大学でどのような勉強をされたんですか」と質問すると「なーに,工業高校卒ですよ.専攻は応用化学.アルバイトでTV局に出入りしているうちに見様見真似で技術を身に着け,採用され,今日までやってきました」と答えた.すごい努力をされたのであろう.私はとても感動した.一人二役,それに比べ,先月で述べたNHKTV撮影のなんと豪華なこと.ディレクターと助手,カメラマンとその補助者,司会者,美容師等6人,あるいはそれ以上の人が撮影にかかわったと思われる.NHKTV聴取料を取っている.番組製作費も人件費も潤沢なのであろう.どうか,良い番組を作り続けてほしいものである.それにしても貧乏根性が身に着いた私には時々,無駄でないかと思われる場面もある.例えば毎日,夕方の1時間に満たないニュース番組に男性アナウンサー2名,女性アナウンサー2名,4名ものアナウンサーが出演するのである.それに女性レポーター,天気予報士等々.きれいな若い女性が次々現れるのは楽しいが,それにしても・・・・.