子供の四季  二月

   子供の四季  二月
○ ○ 雪道
  二月に入ると雪堀りも2, 3回行われ、未だ融雪道路となっていなかったころの道は小屋根より高くなった。雪下ろしと言わず、雪堀りと言うのも屋根から下ろした雪を軒先や玄関の前から掘り上げる作業の方に労力が掛ったからであろう。そうしないと家の中は真っ暗になり、玄関から外にも出られないからである。大雪の年には向かい側の家に行くために一度高い大通りに出てまた降りるのを避けるために道路の下に直接トンネルが掘られたこともあった。夕方になると踏み固められた道はつるつるに凍った。滑らないように小股でちょこちょこ歩いたものである。小学校の行き帰り、少し人家の途絶えたところでよく立ち小便をした。まっ白い雪に黄色く穴が掘られていくのはきれいだった。少し風邪気味の時は雪が橙色に染まった。ときどき、おしっこで“へのへのもへじ”と描いた。途中で溜めていたおしっこが無くなり、あたりで途切れることもあった。女の子にはこんな器用なことは
で できないだろうなと思った。人通りも少し途絶えた雪の舞う夕暮れ時、魚屋の店先では裸電球が風にゆれ、青や赤色をした魚がぴかぴか光っていた。  
 
○  ○ かっち
は はっきりとは思いだせないのだが、確か“かっち” といったように思う。23人でよく遊んだ。大き目の霰(あられ)を芯にしてこれに雪をまぶし、大き目の雪玉にしてしっかりと握ってかたくしてから、踏みしめた雪面に下ろし、ゴム長靴でそろそろこねまわしながら、雪玉に雪面の雪を食いつかせて太らせていく。できるだけ表面の固い雪玉を作るために、雪面の固さ、ゴム長の底に入れる力加減にノウハウがあった。青い杉の葉を雪面に敷き、この上で雪玉をこねると緑色に染まった固いのができた。30分から1時間くらいかけ、直径10 cmくらいに太らせた雪玉はじゃんけんで勝ったものから順番にぶっつけっこをした。互いの雪玉が周りから徐々に欠けていき、最後にあられの芯が出た方が負けだった。一晩雪玉を凍らせてから勝負することもあった。