2017年2月 ドブロクを作る

20172月 ドブロクを作る
 
 久しぶりにドブロクを作った.現役のころの念願の1つがこのドブロク作りだった.なんと次元の低い願望であることか.そのための作り方の本を購入していたが,久しぶりに今回参考にするため,その奥付を見たら,発行は昭和57(1982)だった.秤量の単位もkgやリットルでなく,そのころ酒作り等で流布していた1(1.8 ), 2升,用具もムシロ,桶等で表現されている.今回は3回目の試みである.ドブロク作りの話を知人等にすると「禁止されているんではないですか」とよく聞かれる.もう,かなり前から自家用なら問題ないのである.梅酒作りと同様である.自分も作ってみようという物好きもなかろうと思われるが,話のタネに以下に作り方の概要を述べる.量が多すぎるのでテキストの1/2スケールで作った.
まず,白米 2.7 (1.5)を水が白く濁らなくなるまで良くとぎ,水切りをしたのちポリバケツに入れ,水3.6 ℓを加えて3日間ほどうるかす.このとき,ご飯茶碗1杯のご飯を清潔なさらしか木綿の袋に入れてこの米の入った水中に一緒に浸しておく.あらかじめポリバケツは洗剤を使わずお湯でよく洗い,さらに熱湯消毒をしておく.以下の作業も雑菌が入らないようすべて薄いポリエチレン製の使い捨て手袋を使用して行った. 11回はかき回し,その際ご飯の入った布袋をしごく.温度管理はそれほど厳密でなくてよく20℃前後の室温でよい.3日もすると甘い発酵臭がしてくる.この匂いのしてきた水をモトと言い,酒母,酛などとも書く.米をざるに揚げてモトと分けたのち,このモトは捨てずに取っておき(布袋の飯は不要),米を硬めに蒸す(親指と人差し指で力を入れてつぶれるくらいの硬さ).蒸しあがったらご飯をビニールのシートの上に広げ,3035℃に冷まし,冷めたら1.8 ℓの麹を加えてもみほぐすようにしながらよく混ぜる,昔は食料品店等で容易に手に入った麹も昨今は全く見かけなくなった.私はネット通販で購入した.これを10 ℓ以上のポリバケツに移し(出来上がりは7.3 ℓくらい),先ほどのモトを加えて,新聞紙で覆いゴミが入らないようにする.3日もすると発酵し始め,盛んに泡が出て.甘い酒の匂いがしてくる.良くかき混ぜ,水加減を見る.今回は渇き目だったので少し水を加えた.水が米の上に上がらない程度がよく 水が多すぎると発酵が進みすぎ早く酸っぱくなってしまうという.我が家のガスコンロは焼け焦げ等を防ぐためタイマー付きである.このため米を蒸している間に火が消え,ご飯がめっこ飯になってしまった,そのため乾いたのは水を吸収したためかもしれない.毎日,新聞紙の覆いを取り除き,よく撹拌した.この時,しゃもじで液をすくい茶飲み茶碗で半分くらい味見をした.甘酸っぱいなんともいえない良い味である.日ごとに酒らしくなってきた.毎朝,覆いを取り除くのが楽しみだった.10日目くらいで発酵が止み,出来上がりとテキストにあるが,温度次第である.この間,味見のためにだいぶ目減りしたのではないか.昔,弟が送ってくれた瀬戸物甕入りの“かめのぞき”という名称の日本酒のことを思い出した.今回は10日で完成ということにし,ポリ瓶や日本酒の空き瓶に小分けし,飲み友達数人におすそ分けした.蓋を開けるときは少しずつ栓をゆるめガス抜きしないと酒が吹き出してしまうからと注意をお願いした.2011年の東日本大震災の年もちょうど発酵中だった.地震の揺れで酒が容器から吹き出した.この時の痕跡が私の居間の畳に80cm×50cm位の茶色のシミとなって今も残っている.何かのはずみで時々妻から皮肉を言われる.今回はポリ容器の置き場所は床にするようにと厳重注意された.
おすそ分けした友人からの感想
冷蔵庫にしまってあったのですが,蓋を開けるとみるみるうちに泡が盛り上がってきました.
器に注いで,どれどれと口を近づけると実に上品な香りがしてきました.娘にも「どうじゃ,この香り」と.これが本場のコシヒカリの香りかと思いつつ一口.コメのつぶつぶが泡ともども口中に.ジャパニーズ・サケ・シャンペン!!効きますね.小さくうなずく先生の顔!.まだまだ発酵しそうなので,経時的に楽しませていただこうと思っております”.