2021年5月 混乱する新型コロナワクチン予約

    去る4月下旬、新型コロナウイルスワクチン接種に関する一連の書類が横浜市健康福祉局より送られてきた。早速、開封すると中に「新型コロナワクチン接種の予診票」が入っており、アンケートの中に、現在、なんらかの病気にかかって、治療(投薬)を受けていますか。という欄があり、Yesの場合は医師記入欄に医師の署名を記入するようになっていた。私は永年、「血液をサラサラにする薬」を飲んでいるので,早速、記名・捺印をもらうべく、かかりつけの医院に行ったところ、「そのような指示は未だありません」とにべもなく言われ、用紙を見せても要領を得なかったので引き上げた。書類に記載されたスマートフォン・パソコンからの予約の場合のURLをパソコンに入力すると予約は“5月3日”からと表示されていた。少し、気が早すぎた、まだ医院に通知が行っていなかったのだと納得した。5月3日早速パソコン入力するとどういうわけかはじかれてしまった。予約番号、生年月日等確認して再入力するもやはりだめ。電話に切り替えたが話し中、何回か試みたがあきらめた。4日、5日も何回か電話するも話し中、5月6日昼頃ネットで確かめると予約は終了。次回は5月10日9時から受付とのこと。10日、ネットで申し込むと9時30分で予約終了。電話のみ受け付け中とのことなので試みるが話し中、夕方までに10回くらい試みたが話し中だった。5月11日朝から電話したがやはり話し中、夕方まで10回くらい試みたが駄目。一方、ネットの方は午後にはもう締め切り、次回は17日9時からとのこと。早速、17日、9時少し前電話すると発信音のみ、未だ、受付は始まっていない。9時ジャストに電話したら、もう話し中で「電話が込み合っています。もう少し間をおいてから・・・」。18日は10回くらい電話したが、だめ。このブログは毎月20日にアップしているが、本文章を書いている19日、10回近く電話したのち、午後4時に電話したら、「本日の予約受付は終了しました」とのつれない応答だった。

 予約できたという体操仲間の女性に様子を聞いてみると、初日、朝から数分おきに電話をかけ続け、夕方、運よく通じたという。これくらい執念を燃やし実行しないとだめらしい。ばかばかしい。突発事項に対する行政システムの対応が追い付いていないのである。19日朝、別の体操仲間から聞いた話、昨日、ようやく取れたが、電話がつながってから、切らずにお待ちくださいと言われ、50分後にようやくオペレータにつながり、予約できたという。もちろん、電話代はこちら持ち、固定電話だからよかったものの携帯電話ならゾッとすると言っていた。病人には看護人がついているから、何とか予約もできようが、電話する気力のないフレイル状態の老人はどうなるのであろうか。何十万人も存在すると思われる。

 老人を優先していただいている身には大変ありがたく、こんなことを申すと罰が当たるとは思うが、私はワクチン接種こそ、社会を支えるべく、毎日、満員電車に揺られ必死に働いている青壮年層、今後の我が国を支える学生層こそ優先すべきと考えている。老人は旅行、カラオケ、外での飲食等、不要不急の外出を我慢し、せいぜい近所を散歩すればよいのであるから。予約ができたら身近な若年層のどなたかに予約権利を譲ってもよいと思っているが、そんな仕組みにはなっていないし、可能でも一層混乱することであろう。

 それにしてもオリンピック等日程は前からわかっていたこと、結果論を言っても仕方がないが、なぜ政府はもっと早いうちに必要量のワクチンを確保すべく薬品メーカ等関係各所に働きかけていなかったのだろうか。菅首相がおっとり刀で、渡米し、バイデン大統領との会談のついでに、薬品メーカとようやくコネクションを付けたという印象である。政府とこれを支える関係官庁には早いうちにワクチンを確保しないと大変なことになるという危機感はなかったのだろうか。政治家や官僚の使命感の欠如、目先の利害関係だけに追われ、先を予想するという想像力の貧困は目を覆うばかりである。数日前の情報では各国別の接種率で我が国は100番目以下という。情けない。これで先進国と言えるのか。

 さて、ひとまず高齢者層への接種が終わったとして、次の若年層への対応を政府、関係市町村はどうするつもりだろうか。未だ誰もそのことを言っていない。企業は勤務中の予約作業を認めるのだろうか。今は日中に限られている予約対応を24時間体制にしても追い付かないだろう。日本全体での膨大な時間損失、生産性の低下は想像するのも恐ろしい。

 オリンピックが2か月ちょっとに迫った19日時点の重症感染者数は1293人で過去最大となった。即刻、延期、もしくは中止すべきである。さもないとオリンピック対応のために医療関係者が忙殺され、我が国の医療体制は崩壊する危険がある。

Yahoo Japanのニュース一覧を見ると、大リーグ・エンジェルスの大谷翔平選手の活躍だけが唯一の明るい話題である。今日19日も単独トップの14号ホームランを放った。

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*フレイル:英語のFrailtyが語源で、「虚弱」「老衰」「虚弱」を意味し、加齢とともに現れ、健康な状態と要介護状態の中間に位置する、身体的機能や認知機能の低下が見られる状態のことを指す。食生活の改善、適度な運動、社会活動等によって著しく回復するという。(https://activesenior-f-and-n.com/frail/outline.html)