2017年12月 当たり年

201712 当たり年
 
 高校3年の時,蓄膿症の手術で1週間ほど入院して以来,60年間,幸運なことに手術も入院もすることなく過ごしてきたのに,この秋から2回もの手術とそれぞれ,7日間,9日間の入院生活を送るはめになった.以下にその顛末を述べよう.去る7月,横浜市の健康診断を受けた所,便に血液がわずかに認められたので精密検査を受けた.大腸がんの疑いということで内視鏡検査を受けたところ,大腸に3cmほどのポリーブが見つかり,内視鏡による粘膜下層剥離の手術を勧められた.手術前に念のためにと胃カメラMRI検査を受けたところ,前者で胃内にも2㎝ほどのポリーブが見つかった.その際採取された細胞検査の結果,初期の胃がんだということが分かった.こちらも手術を要するが,先に見つかった大腸のポリーブ切除を先にすることになった.そのため,1025日,中区にある赤十字病院に入院,翌日手術が行われた.肛門から内視鏡を挿入,レーザーメスによる患部の除去に3時間ほどかかった.しかし,全身麻酔のため手術中は痛みもなく夢見心地であっという間に終わった感じだった.麻酔が抜けても痛みは全くなかった.そして点滴がはじまった.手術2日目は点滴のみ,3日目から重湯,三分粥,五分粥,ごはんと徐々に主食が重くなり,入院7日目にめでたく退院した.この間,時々妻が新聞等を持って見舞いに来てくれた.とにかく,どこも痛いところはなく普段の健康時と変わりがないのにやることもないから退屈なのである.新聞を隅々まで読み,持ち込んだ文庫本を数冊読んだ.パソコンを持ち込んだのは正解,メールやネットサーフィンに時間をつぶし,病院を隅々まで歩き回った.数年前に購入したものの,ほとんど見ることもなく放っておいた西部劇映画名作集のDVD(10)2回目の入院で見終わった.テレビカー(1000)も購入.これで800分間見られる.日中,やっている古い推理物の再放送ドラマを楽しんだ.もう亡くなっている俳優や今は名優と言われる大物俳優のかっての若々しい様子を見ることができた.結局,2回の入院で各2,4枚のカードを購入,前回見切れなかったカードは残り時間分を返金可能であった.毎日,担当の看護師さんが変わった.その人柄はさまざまであったが,彼女達は皆,献身的だった.朝,昼,晩と1日3回,血圧,体温の測定があった.担当のY医師は朝晩,「調子はどうですか」と病室に訪ねてこられた.医師の許可を得て退院1週間後からラジオ体操を開始,アルコール解禁は3週間後くらいからだっただろうか.手術時に採取した細胞検査の結果,やはり大腸がん,幹部はきれいに除去されていますから,1年後また検査しますとのことだった.
 そして,去る125日,また入院,偶然にも病室は前回と同じ7階のカーテンで仕切られた4人部屋の一つだった.翌6日,胃がんの手術,こんどは喉から内視鏡を挿入,やはりレーザーメスによる患部の剥離が行われた.喉を麻酔しているとは言うもののカメラが喉を通過するときは痛かった.手術は1時間くらいか,術中は前回より痛かった.大腸がん手術より大事(おおごと)なのだろうか,前回と同じY医師の言動,手術前後の処置の様子からそのように感じられた.術後2日目に行われた胃内の様子を確認するための内視鏡検査も痛かった.わずかに見られた出血個所はレーザーで焼き,処置したとのことだった.術後は絶食,重湯と水を飲むことを許可されたのは3日目からだった.点滴が取れたのは6日目で,点滴中はトイレ等への移動も薬液入りの袋を吊るしたスタンドと一緒のでまったく不便である.これが不要になっただけでホッとした.点滴が取れた時,シャワーを許可されさっぱりした.入院期間は前回より2日多い9日間,この間の過ごし方は前回とほぼ同じ,退屈なのは回復が順調の証拠か,去る1213日無事退院した.本日(20)からラジオ体操を開始,残念ながら,正月はノンアルコールである.解禁日が待ち遠しい.
手術前は太り気味だったが,2回の入院で手術後の絶食,重湯,三分粥等の病院食により体重は4 kgほど減り,身体が軽くなったようで快調である.でも,食欲があるのでリバウンドが恐ろしい.“欲すれども法を超えず”からは程遠い状況である.ダイエットを望まれる方にはポリーブの除去をお勧めしますというのは悪い冗談であるが,それにしても,手術2回,今年は当たり年だった.来年はもっと良い年になりますように.対外的な活動も少なくなるので何か新しいことを始めようと考えている.