2017年5月 ニュースのゆくえ

20175月 ニュースのゆくえ
 
いつもテレビでニュースを見ているとき気になることがある.特に重大ニュースが発生した場合などである.例えば,去る514日,北朝鮮が弾道ミサエルを発射した.発射は午前528分ごろだった.もう,間もなく6時のニュースが始まる前で,すでにこの時,各テレビ局ではどのようなニュースを報じるかについて,いくつかの内容の時間配分,それに付随する映像などが決まっていたことであろう.しかし,突然の弾道ミサエルの発射でこの用意されていたニュースはどこかに弾き飛ばされ,没になったことであろう.どのような内容だったのであろうか.いつか放送されることはあるのだろうか.ニュースは旬が売り物である.時間遅れの内容は没になるのだろうなと思いながらもなんとも気になって仕方がない.ある国語辞典によれば,ニュースとは新しい(珍しい)出来事と記載されている.報じられなければ,新しい出来事が起こっても,起こっていないことになる.考えてみれば,そのことは世の中から抹殺されたことになり恐ろしいことである.また,これとは異なるが,当事者にとって都合の悪いことがテレビ局の思惑と一致した場合もニュースとして報道されないことになる.このようなことは絶対にあってはならない.
もう一つ,気になること,大事件や世の中を騒がせた大ニュースは時間の経過とともに過去に追いやられ忘れ去られていく.それは仕方のないことかもしれないが,当事者にとっては決して忘れられないことであろう.例えば,数年前,大きく報じられたニュースで,某大建設会社のビル建築に関わる基礎工事でポールが既定の深さまで埋め込まれていなかったことが発覚した事件があった.確か,対象マンションを建て替えることになった場合もあったのではないか.私だけが見過ごしているのかもしれないが,その後どうなったのであろうか.立て直し工事は順調に進んでいるのだろうか.その間,被害者の方々はどこに居住しているのだろうか云々.
 また別の話,数か月前,横浜市のある病院で点滴チューブに穴があけられ,毒物が注入されて死亡者の出た事件があった.最近,病院内でストックするそのような備品は厳重管理しようという規則(?)の制定,or申し合わせがなされたという報道はあったが,このような犯罪を犯した犯人捜しの方はどうなっているのだろうか.報道経過から受けた印象では,このようなことができるのは医療知識に富み,内部事情を熟知したものの犯罪のように私には思われたが,犯人が特定された,検挙されたという報道はないようだ.各報道機関には事件やニュースごとにファイルがあって,それらを定期的にフォロウし,現時点でどうなっているのかをチェックする部門があるのではないか.それとも日々起こる膨大なニュース,事件に翻弄され,目前のことを追いかけるのに精いっぱいで,各事件のその後の組織的な追跡などはなされていないのだろうか.
 上記からは少し外れるが,もう一つ気になることはニュースの小出しである.例えば,殺人事件が起こった場合,警察への問い合わせで「これこれのことがわかりました」とよく報道される.例えば,死体が見つかった後,数日後,死体の発見現場付近に,犯人のものと思われる車が監視カメラに写っていました.また別の日,被害者を載せたと思われる車が発見されました.それから,また,1日おいて,その車から被害者のものと思われる血痕が車の中から見つかりました.また,さらに数日後,被害者のDNAと一致しました,・・・のように.最後のDNAの件は検査に時間がかかるから仕方がないとしても,どうして,死体の発見と監視カメラの車の映像,また,車の発見と血痕の発見が同時に報道されないのだろう.当然警察では判っていたと思われるのに,報道記者がそこまで追求しなかったのか,警察が黙っていたのか.具体例が直ちに思い浮かばないのが残念であるが,素人でも当然予想されるような内容が,警察への取材で分かりましたと数日間にわたって判明したと報道されることがよくある.なぜもっと早いうちに一気にわからなかったのだろうか.年を取り,気が短くなったのか,じれったいことである.