2016年7月 シカゴ

20167月 シカゴ
 
 去る6月中旬,26年ぶりに1週間ほどシカゴに出張した.お世話になっている理化学研究所・中村特別研究室の中村氏の依頼で第18 国際リチウム電池会議(The 8th International Meetingof Lithium Batteries)に出席し,最新のリチウム電池研究にかかわる情報を収集するためである.この学会は2年ごとに世界のどこかの電池研究の盛んな国で開催されており,わが国でも数回開催済み,次回は2年後京都で開催の予定である.リチウム二次電池スマホなどなくてはならない情報機器の電源として,また近年は電気自動車用途等,あるいは据え置き型の大型電力貯蔵源として大きな注目を浴びており,多くの研究・技術者がこの電池の性能と安全性のさらなる向上,コスト低減等に向けて研究開発に参加している.今回も1300人以上の参加者があり,招待講演(Invited Talk) 75件,ポスター発表1230件と盛大であった.招待講演者の国籍は17か国におよび,米国から16人,日本14人,韓国8人,中国8人,ドイツ6人,フランス6人等でであった.特にわが国の場合,40代後半から50代の中堅層が主体であり,頼もしく,うれしく思った.しかし,研究・技術レベルは世界の最先端にありながら,ビジネス的にはわが国は韓国,中国に差をつけられ,苦戦している.少しきつい表現となるが,一言でいえば事業戦略のまずさである. その理由はいろいろ考えられる.例えば,
・技術至上主義(ユーザー無視の独りよがり)
・内向き気質(国内市場優先,ガラパゴス化)
・特許重要性の認識欠如(特に大学研究者の論文第一主義,特許出願・維持資金
不足)
・国内企業間の縄張り争いと小さな資本規模
・国際規格の重要性認識不足
・技術者を尊重しない風土と安易なリストラによる頭脳,技術の海外流出
・コスト競争等々
が挙げられよう.これらの欠点は徐々に認識されつつあり,改善の方向に向かっている.ただし,来るべき,電気自動車時代,自然再生エネルギーの蓄積媒体等に必要な大型高性能電池の世界市場に参入していくためには改善のスピードアップがどうしても必要である.研究・技術者の自覚は無論であるが,経営トップのゆるぎない長期戦略の確立を望みたい.
 話は変わる.私の思い込みかもしれないが,全米第3位の都市,シカゴはかって暗黒街でギャングの町のイメージがあった.しかし,警官の増員や地元代表らとの連携がなされ,2013年には殺人被害者数が415人まで下がったものの(1970年代は970),暴力行為は依然多く,発砲事件だけでも2013年の負傷者の数は2,185人にのぼった(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%82%AB%
E3%82%B4#.E7.8A.AF.E7.BD.AA).
学会会場でもあり,私達も滞在したホテルのあるダウンタウン地区は比較的安全のように思われ,夜出歩いていても観光客は多く危険は感じられなかった.今,全米,いや世界中を騒がせている共和党トランプ大統領候補のトランプタワーホテルが道に迷った時の良い目印になった.
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シカゴは高層建築の町でもある.シカゴ河を行き来する観光船に乗ったが,様々な形状のビルが川面に映えきれいだった.日曜日の午後,シカゴ美術館を訪れた.世界一の広さという大きな美術館で2時間廻っても1/4も見られなかった.おおらかなもので写真撮影は自由であったから気に入った絵画をいくつか撮影してきた.ある晩,ピザが有名とかいうレストランに行った.スモールを1個注文し,妻とシェアーしたが,それでも食べきれずドッギーバッグにしてもらった.クラフトビールがおいしかった.妻は日中,一人であちこち動き回っていたようであるが,私は今回,比較的真面目に(?)講演を聴講,エスケープしたのは上記のクルーズ参加のみだったので大して面白い体験もなかったからこの辺で終わる.妙な話であるが,シカゴでは宿泊したリーゼント・ハイヤットのような高級ホテルでもウオッシュレットが設備されていない.帰国後つくづく日本に住む幸せを味わった.