2014年5月 巣箱

20144月 巣箱
厚木の自宅の庭の豊後梅の木の股に巣箱が取り付けてある.いま,中学3年生の孫の男の子が小学4年生ころの夏休みの工作の宿題で,父親に手伝ってもらいながら作ったものである.孫の家はそのころマンションで取り付ける場所もなかった。「じいちゃん,これを厚木の家の庭の木に取り付けて」と頼まれたのである.巣箱の入り口の脇にマジックインクでもう消えかかっているが,“シジュウカラ”と書いてある.小鳥たちは字が読めるらしい.というのは嘘で,入り口の穴の直径で巣箱に入る鳥の種類が決まるのである.シジュウカラの場合,直径2.5-3 cmである。普段空き家にしているので,毎年,シジュウカラは安心して巣作りをし,卵を孵化させてきた.孫の巣箱以前にも私の自作の巣箱を永年にわたって取り付けてきた.入り口を丸くくり抜くためには糸鋸が必要であるが,横着して真四角の穴でごまかしてきたが,それでもシジュウカラにとっては住宅難なのか,毎年巣作りをした.5, 6年経つと朽ちてくるので作り直した.もう五代目くらいになろうか。はじめのころは背丈が7-8 m位あったヤマモモの木に取り付けたが,あまり成長して日陰となり燐り近所に迷惑なので,痛ましかったが思い切って10年ほど前に伐採,その後は豊後梅に移したのである.3年前,釜石で東日本大震災にあった息子一家がこちらに引き上げて来,この家に1年間ほど過ごした.元気な孫2人が庭で大騒ぎをしたが,それでもシジュウカラはやってきた.連休のある日,厚木に行ったところ,「お義父さん,シジュウカラが来ていますよ」と嫁が教えてくれた.彼女は犬,鳥,魚釣り等が大好きで動物の生態を研究している息子の良い相棒である.彼女は毎日,暇があれば梅の葉陰にちょろちょろ出はいりするシジュウカラを観察していたらしい.
久しぶりに先週の土曜日厚木の家に行った。庭に出たとき,ちらっと数m離れたモミジの枝にシジュウカラを見かけた。巣箱に入るかと期待していたが,その後は寄り付かなかった。こちらは一日中草取り,シンビジウムの植え替え,池の水漏れ修理 (これについては次回に述べる) 等で庭に出ていたので,先方は警戒していたのかもしれない。今年は大雪で春が遅かった。梅の花も遅く咲き,葉芽の出るのも遅れており,例年なら葉がかなり生い茂り巣箱を隠してくれているのだが,今年は丸見えである。夕方作業も終わって家に入る前念のために,梯子を掛けて木に登りそっと巣箱の上蓋を持ち上げ中を覗いてみたら,小さな少し灰色がかった卵が1個巣の中にあった。ほっと一安心,でも日中親鳥は巣箱に入らなかったから,その間卵は放っておかれた。抱卵されなかったから冷えてしまわなかっただろうか,もっとも日中は幸い暖かだったから大丈夫かなど気休めに思いながら横浜のマンションに戻った。どうか,うまく孵化してくれるよう祈っている